昔、とあるジュエリーショップで付き合いたての彼女と一緒に指輪を買いました。
その店は高級ブランドって訳じゃないけど、社会に出たばかりの20代が、同じぐらいの年齢の女性に少し頑張ってプレゼントするのに丁度いいぐらいのブランドです。
普通の指輪で5万〜10万ぐらいの価格帯のお店でした。
私はそれまではジュエリーと言えばKissか4℃ぐらいのものだったのでこの値段でもかなり頑張っていた方です。
今回は、このショップで指輪を買った事がきっかけで行くことになったジュエリーフェア(宝飾品の展覧会みたいな感じ)のお話です。
この記事の目次
事のなれ初めは、そのショップに付き合いたての彼女と一緒に行ったこと。
私と彼女はそのショップの店員さんに雰囲気を気に入られた様で、雑談やら世間話やらをしながら楽しく指輪を選んでいました。
彼女が凄く気に入った指輪があったので、その場で購入。値段は7万弱だったかな?当時転職しただった私にとってはかなり大きな出費!
なんだか店員さんが結構強引に買わせて来ている様な感じがして若干気が引けていたものの、彼女が喜んでくれるなら!と流されるままに購入しました。
購入して数日後
購入してから数日後立つと、そのショップで接客をしてくれた店員さんから、私の家に手紙が届きました。
封を開けると便箋が2枚、便箋には手書きで「すごくお似合いの2人で接客しているこっちまで幸せになれました!」とか「クリスマスのジュエリーも、結婚指輪もお手伝いできたら幸せです!」みたいな言葉と共に、購入した日に雑談で話していたもののイラストが書かれていました。
こんな事は初めてだったので、その時は「こんな物まで送ってくるんだ!やっぱりワンランク上のジュエリーショップは違うな!」と素直に感心していました。
その後も、ショップ近くを通った時には指輪のクリーニングがてら少し雑談したりした事が何回かありました。
ジュエリーフェアへのお誘い
何度目かにショップに立ち寄ったとき、突然こんなお誘いが。
「ジュエリーフェアに出店するんだけど、来てみませんか??」
そのジュエリーフェアは通常一般の人は参加出来ず、業界関係者とそれぞれのブランドが数枠持っている招待券を持っている人だけが入場出来るそうです。
場所は都内の一流ホテルのホール。世界各国のジュエリーブランドが一堂に会し、宝石や宝飾品の売買をするそう。
私は貧乏なので、そんな所に行っても何も買えません。というか買いません(笑)
私が渋い顔をしているのを察した店員さん(以下Aさん)は「大丈夫ですよ!買わないって言うのはもちろん分かってるし、招待券余ったら勿体ないから是非来てほしいんですよ。招待券があれば無料でフレンチのコースも食べられるんですよ!」などと言ってきます。
店長さん(以下Tさん)も上手いこと言って乗せてきます。
正直あまり気が進みませんでしたが、彼女もそこそこ興味を示していたので行く事にしました。
この時点で私はAさんもTさんも全く信用していませんでした。
ジュエリーフェアに潜入
当日、やっぱりちょっと不安はあれど、自分が知らなかった世界を覗ける、しかも招待された人しか行けないというレアな体験が出来るという事で結構ワクワクしながら会場に向かいました。
ホテルのロビーでAさんに連絡するとTさんと一緒に迎えに来てくれました。4人で会場に向かいます。会場に向かう途中Aさんは私の彼女に対し「本当に見るだけでいいからねー!絶対いい思い出になるよ!」と、安心を誘ってきます。Aさんはいつの間にか彼女に対してタメ口になってました。
会場の雰囲気
会場に入ると、広ーいホールの壁を埋め尽くす様にジュエラーの展示スペースが広がっています。
会場全体は人でごった返し、異様な熱気と何とも言えない雰囲気が漂っています。金と欲望の匂いっていうのでしょうか。貧乏人の私にはもう居心地が悪いです。
AさんとTさんに案内されて、今回のフェアの目玉らしいゴテゴテしたネックレスが展示されてるスペースに向かいます。値段は忘れてしまいましたがたしか数百万~数千万ぐらいだったかと。見ているだけで気持ち悪くなってくる悪趣味なものでした。
ホールの周囲を埋め尽くすジュエラーの展示スペースのテーブルには所狭しと並ぶ宝石、指輪、ネックレス…。各ジュエラーの販売スタッフはなんというか目が死んでます…。恐い…。
売られている宝飾品の値段
悪趣味なネックレスを見た後、4人でジュエラーの商品を一通り見てみようという事になりました。
目が死んだスタッフに見張られながら、4人でショップを回ります。
いちいちAさんが「これ○○っていう石で、もうすぐ枯渇しちゃうから今のうちに買っておかないと手に入らなくなっちゃうんですよー」とか「このショップのダイヤはめちゃくちゃ品質が高くて、私もいつか欲しいんですよねー」とか言ってます。知るか。
とりあえず、「へぇぇ」とか「ほんとだー綺麗!」とか言っておきますがこんなもの私には関係ありません。だって値段が平気で100万とか300万するんだもん。ホールの中で一番安いものでも30万。平均でも100万ぐらいする宝石や指輪があちこちのテーブルにぎっしりと並んでます。ショーケースに入っているわけでもありません。
ちょっと気になる宝石があると、すぐにAさんがそのジュエラーの人に「つけてみてもいいですかー?」と頼んで彼女にはめさせてくれます。私としても、彼女が色んな宝石に触れている所を見ているのは楽しいし、彼女にとってもいい経験になると思うので、少しだけ「楽しいなー」と思いました。「どうせ何か買わせようと探ってるんだろうなー」と思いつつですけどね。
もうこの時には「どうせ最後には何か買わせようとしてくるんだろ」と完全に疑いの目で見てます。
やっぱり綺麗なものは心惹かれる
そんな事を思いつつも、綺麗な宝石は本当に綺麗!
ダイヤモンドよりもずっと高い宝石を散々見た後でも私にはダイヤモンドが一番魅力的でした。とあるダイヤモンドを専門に扱うジュエラーの展示品を見ていた時は、こんなスレた状態の私でさえ見入ってしまいました。本当に透き通っていて綺麗!
そのダイヤモンドはこの会場では珍しくショーケースに入っていてあまり近くでは見れなかったので、「Aさん交渉して出してくれないかなー」とちょっと期待していたのですが、なぜかそのジュエラーではAさんは無関心。「次行きましょう~」とか言いながら行ってしまいました。ちぇ…。
徐々におかしくなっていくAさんとTさん
とあるショップで宝石を見ていたところ、Aさんが私の彼女にすごく似合うネックレスを見つけたようです。AさんとTさんが勝手に盛り上がってます。よく覚えていませんが、私にとってはゴテゴテしすぎてて全然似合っている様には見えませんでした。
ここでAさんがおかしな行動に出ます。
店の人に「これちょっと借りて行っていいですかー?」等と交渉しています。なんでだよ!いらないよ!そんな私の心の叫びもむなしく、すぐに話はつきそのネックレスを借りてきやがりました。宝石を乗せる用のトレーまで借りてます。
Aさん「バイヤーが他のショップの物と比べたりするためにこうやって借りることも出来るんですよー。」
私「・・・・・・(比べるも何も、いらないんだけど・・・)」
Aさん「大丈夫ですよ!向こうに休憩用のテーブルがあるのでそこでこのネックレスつけた彼女さんの写真撮ろうと思って!記念ですよ記念!」
私「・・・そそそそうですか(押し売りされるパターンだ・・・)」
結局Aさんは他のブースでも「似合うーこれ持って行こう!」とか言いながらどんどん指輪やらネックレスやらを借りてきてトレーの中の宝石はみるみるうちに増えていきました。
地獄の入り口、アンティーク時計売り場
売り場も一通り見終わりかけたころ、アンティークの高級腕時計を専門に扱うショップに着きました。
貧乏人の私でも高級時計に対しては憧れはあります。
ロレックス、IWC、オメガ、ブライトリングはもちろん、オーディマ・ピゲやパテックフィリップといった超高級腕時計まであります!ここでは私もテンション上がりました!ロレックスといえばこの形!という枠に収まらない、珍しい形のロレックスや、ロゴマークが「IWC」ではなく「international watch company」のIWC等、色々なアンティーク腕時計があり、この時初めてアンティーク腕時計の魅力が分かった気がしました。
でも、結果的にこれがいけなかった…。
アンティーク腕時計売り場でウキウキしている私の反応が、Tさんのスイッチを入れてしまったのです。
とりあえず、その時計売り場でアンティークのロレックスとIWCを借りていくことにし、休憩スペースのテーブルに向かうことになりました。
やっぱり来ました押し売りトーク
さて、テーブルに着くとトレーに乗った宝石を並べ直しながらAさんがこんな事を言ってきました。
「もしこの中でどれか一つ買うとしたらどれがいいですか?^^」
いきなりかよ!単刀直入すぎるだろ!
「買わないって言ってんだろバカヤロー」と言うのはこらえて、「うーんこれかなぁ。買わないけど」と平静を装って普通に返しておきます。
Aさん「あーこれやっぱりいいですよねー!私もやっぱりこれが一番いいなーって思ってたんですよー。彼女さんも欲しいですよねー?」
彼女「いつか欲しくなるかもしれないけど今はいらないですよー(汗)」
Aさん「彼氏さん優しいからお願いしたら買ってくれるかもよ☆」
私(ぶん殴るぞ☆)
こんなやり取りがしばらく続きます。
ついには電卓をとりだして、○○回ローンだったっらー、△△回ローンだったらーとかやり始めます。
私もイライラしてきました。ちょっと真剣な口調で「買わないってわかってますよね?」と言うと、向こうもようやく矛を収めてくれました。
そして、一応借りてきた宝石をつけて記念撮影を。私はもう写真なんてどうでもよくなっていましたが流されるがままに撮ることにしました。
これで終わりのはずでした。まともな人間だったらこれ以上は押してこないです。しかし残念、どうやらTさんはまともじゃなかったようです。
写真撮影するためにつけていた(つけさせられた)IWCのアンティーク時計について何やら魅力を語ってきます。「アンティークの時計は機を逃すと一生手に入らない可能性が高い」、「アンティークの時計の良さが分かるのは(私)さんのセンスがいいから」、「そんな(私)さんが惚れたという事は、時計が(私)さんを選んだという事」胡散臭い言葉で怒涛のプッシュが続きます。が、全く響きません。
この時計のお値段、90万円ですよ。7万の指輪買うのに躊躇してた人間に90万のアンティーク腕時計を勧めてくる神経がさっぱりわからず、ただただイライラしていました。だれがどう見てもごく普通の20代の男が90万のアンティーク時計を流されるがままに買わされていたらただの馬鹿です。
いつか欲しいにしても、今買うべきでは絶対ありません。完全に分不相応です。
それなのに延々とセールストークを仕掛けてくるTさん。いい加減頭に来た私はTさんの言葉を「買わないって言ってますよね」と少し怒りの混じった声で遮りました。
ようやく静かになるTさん。しかし最後にこんな事を言ってきます。「この時計、どこまで値切れるかの確認だけしてきてもいいですか?」
私「いらないからいいです」
T「私も後学のためにどのくらい値切れるか知りたいんですよ」
私「私は興味ないのでTさんだけで勝手にやってください」
こんなやり取りをしていると、ようやく状況のヤバさを察したったAさんが「とりあえずもう絶対進めないから、店長としての仕事だけさせてください~笑」と言ってきました。悟った様な事言ってるけど、私からしたら店長としての仕事とか知った事ではありません。
ですがもうこれ以上は面倒になって、勝手にどうぞと送り出しました。
10分後、Tさんは1円も値切れずに帰ってきましたとさ。
こうしてようやく私の地獄の時間は終わりをつげましたとさ。
ジュエリーフェアに行って来た感想
今考えても地獄です。
会場の雰囲気を思い出すだけで気分悪くなってくる気がします。押しに弱い人だとあの状況からすんなり逃げるのはかなり難しいかもしれません。
指輪やネックレスを買ったジュエリーショップから、ジュエリーフェアに招待されたらくれぐれも気を付けてください!高級ジュエリーにたくさん触れるという意味ではいい経験になるでしょうが後で押し売りされる事は覚悟しておきましょう!
私はもう二度と行きません!